な か や ま
ま さ の ぶ 司法書士 ・ 行政書士 ・ 土地家屋調査士 中 山 雅 史 事 務 所 TEL(079)299 −2816 〒 670−0084 兵庫県姫路市東辻井4丁目9番12号 |
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保佐の詳細 |
成年後
見制度とは 成年後見とは、精神上の障害により判断能力の衰えた方 (認知症の方や知的障害のある方等) のために、その財産の管理や 重要な財産上の行為 (契約等) について、その方の判断能力を補うために後見人等が援助を行う制度です。成年後見には、法定 後見と任意後見があり、法定後見には、後見 ・ 保佐 ・ 補助の3つがあります。 |
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保佐の開始 保佐は、家庭裁判所の保佐開始の審判により開始します。保佐開始の審判を受けた方を被保佐人といい、 その方のために保佐人が選任されます。 保佐開始の事由 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な方について保佐開始の審判がされます。 ただし、後見開始の事由がある方については、保佐開始の審判はされません。(民法11条) つまり、精神上の障害の程度によって、後見と保佐のいずれの制度が適用されるかが決まります。 保佐開始の審判を申し立てること ができる者 保佐開始の申立ができるのは、本人 ・ 配偶者 ・ 四親等内の親族 ・ 後見人 ・ 後見監督人 ・ 補助人 ・ 補助監督人です。この他、検察官も申し立てることができます。(民法11条) 市町村長は、以下の場合には保佐開始の審判を請求することができます。 1 65歳以上の者について、その福祉を図るため特に必要があると認めるとき (老人福祉法32条) 2 知的障害者について、その福祉を図るため特に必要があると認めるとき (知的障害者福祉法28条) 3 精神障害者について、その福祉を図るため特に必要があると認めるとき (精神保健及び精神障害者福祉に関する法律51条の11の2) 被保佐人の行為の制限 保佐開始の審判を受けた方を被保佐人といい、その方には保佐人が付されます。(民法8条) 1 保佐人の同意を要する行為 被保佐人が以下の行為をするには、保佐人の同意を得なければなりません。ただし、日用 品の購入その他の日常生活に関する行為については同意を要しません。(民法13条1項) (1) 元本の利用 (金銭の貸与等) (2) 借財又は保証 (3) 不動産その他の重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為 (4) 訴訟行為 (5) 贈与、和解、仲裁合意 贈与とは、贈与をする場合のことで、贈与を受ける場合は含まれません。 (6) 相続の承認、放棄、遺産の分割 (7) 贈与の申込みの拒絶、遺贈の放棄、負担付遺贈の申込みの承諾、負担付遺贈 の承認 (8) 新築、改築、増築、大修繕 (9) 以下の期間を超える賃貸借 ア 樹木の植栽又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年 イ その他の土地の賃貸借 5年 ウ 建物の賃貸借 3年 エ 動産の賃貸借 6ヶ月 家庭裁判所は、上記以外の行為についても、保佐開始の審判の申立ができる者又は保佐 人 ・ 保佐監督人の請求によって、保佐人の同意を要する行為を定める審判をすることができ ます。ただし、日用品の購入その他の日常生活に関する行為については、保佐人の同意を要 する旨を定めることはできません。(民法13条2項) 2 保佐人の同意に代わる許可 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそ れがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人 の同意に代わる許可を与えることができます。(民法13条3項) 保佐人の同意を得 ずにした行為の効力 保佐人の同意を得なければならい行為で、その同意又は同意に代わる許可を得ずにしたものは、取り 消すことができます。(民法13条4項) 1 取消権者 保佐人の同意のない行為を取り消すことができるのは、被保佐人本人と保佐人です。 被保佐人が亡くなった場合には、その相続人も取り消すことができます。(民法120条1項) 2 取消の効果 保佐人の同意のない行為が取り消された場合には、その行為は最初から無効であったもの とみなされます。その行為によって被保佐人が行為の相手方から利益を得ている場合には、 その利益を相手方に返還する必要があります。取り消された行為は、初めからなかったことに なりますので、本来であれば受けた利益を全て返還すべきこととなりますが、被保佐人を保護 するために、返還すべき利益の範囲は現に利益を受けている限度に制限されています。従って、 利益が現存していなければ、返還する義務はありません。(民法121条) 3 追認 取り消すことができる行為は、取消権者において追認することができます。追認するとその 行為は、有効な行為として確定しますので、以後は取り消すことはできません。(民法122条) (1) 被保佐人による追認 (民法124条1項) 被保佐人は、その行為の取消しの原因となっていた状態が消滅した後、つま り保佐開始の事由が消滅した後でなければ追認をすることはできません。 (2) 保佐人よる追認 (民法124条3項) 保佐人が追認するについては、上記のような制限はありません。いつでも追認 することができます。 4 取消し及び追認の方法 取消し及び追認は、行為の相手方が確定しているときは、相手方に対する意思表示により 行います。(民法123条) 5 法定追認 追認の意思表示がされていなくても、取消すことができる行為について、追認をすることがで きるとき以降に、以下の事実があったときは、追認したものとみなされます。ただし、異議をとど めていれば、追認したものとはみなされません。(民法125条) (1) 全部又は一部の履行 取消権者が、相手方より全部又は一部の履行を受けた場合も含まれます。 (2) 履行の請求 取消権者が、相手方に対して履行を請求した場合のことで、相手方からの 取消権者に対する履行の請求は含まれません。 (3) 更改 (4) 担保の供与 (5) 取消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡 (6) 強制執行 6 取消権の行使期間 取消権は、追認することができるときから5年間行使しないときは、時効によって消滅します。 行為の時から20年を経過したときも同様です。(民法126条) 7 相手方の催告権 取り消すことができる行為の相手方は、その行為が取り消されるまでは、その行為の効力を 確定させるために以下の催告をすることができます。 (1) 被保佐人について保佐開始の事由が消滅した場合 被保佐人であった者に対して、1ヶ月以上の期間を定めて、その期間内にその 行為を追認するかどうか確答するよう催告することができます。 その期間内に確答がないときは、その行為を追認したものみなされ、その行為 は初めから有効であったことに確定します。(民法20条1項) (2) 保佐開始の事由が消滅しない間 保佐人に対して、(1)と同様の催告をすることができます。この場合に、保佐人 より期間内に確答がないときは、保佐人がその行為を追認したものみなされ、そ の行為は初めから有効であったことに確定します。(民法20条2項) (3) 被保佐人に対する催告 相手方は、被保佐人に対して、期間内に保佐人の追認を得るよう催告すること ができます。この期間内に、被保佐人が追認を得た旨の通知を発しないときは、 その行為は取り消されたものとみなされます。(民法20条4項) 保佐開始の審判 1 管轄裁判所 保佐開始の審判の申立は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所が管轄し ます。(家事事件手続法128条1項) 保佐開始の審判をした家庭裁判所は、その事件に関してその後になされる審判 (保佐人の 選任 ・ 解任、保佐開始の審判の取消等) についても管轄裁判所となります。 (家事事件手続法128条2項) 2 審判の手続 保佐開始の審判においては、被保佐人となるべき者も、法定代理人によらずに自ら手続行為を 行うことができます。被保佐人となるべき者が被補助人の場合でも、補助人等の同意を得ずに自 ら手続行為を行うことができます。(家事事件手続法129条、118条) 家庭裁判所は、保佐開始の審判をする場合には、被保佐人となるべき者の精神の状況につい て鑑定をしなければなりません。ただし、明らかに必要がないと認めるときは、鑑定をすることなく 保佐開始の審判をすることができます (家事事件手続法133条、119条1項)。審判の申立に際 しては、申立書とともに被保佐人となるべき者を診断した医師の診断書を提出することになります ので、その診断書だけで判断が可能なときは家庭裁判所における鑑定を経ることなく保佐開始の 審判がなされます。鑑定費用は、申立人の負担となります。 家庭裁判所は、保佐開始の審判をする場合には、被保佐人となるべき者が申立人であるとき を除いて、その者の陳述を聴かなければなりません。(家事事件手続法130条1項) 家庭裁判所は、保佐開始の審判をしたときは、事件の当事者 ・ 利害関係参加人 ・ 保佐人に 選任される者 ・ 任意後見契約が効力を生じている場合には、後見開始の審判により終了する任 意後見契約の任意後見人及び任意後見監督人に、告知しなければなりません。 (家事事件手続法131条、74条1項) 家庭裁判所は、保佐開始の審判をする場合において、被保佐人となるべき者が成年被後見人 又は被補助人であるときは、後見開始の審判又は補助開始の審判を取り消さなければなりませ ん。(民法19条) 3 申立の取下 保佐開始の審判の申立は、審判がされる前であっても家庭裁判所の許可がなければ、取り下 げることはできません。(家事事件手続法133条、121条) 保佐開始の審判の申立を取り下げるときは、その理由を明らかにしなければなりません。 (家事事件手続規則85条、78条1項) 申立の取下げの許可があったときは、裁判所書記官は、その旨を当事者及び利害関係参加 人に通知しなければなりません。(家事事件手続規則85条、78条3項) 4 即時抗告 保佐開始の審判に対しては、保佐開始の審判の申立ができる者 (民法11条) ・ 任意後見契 約が登記されている場合の任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人は、即時抗告により 不服を申し立てることができます。即時抗告の期間は、以下のとおりです。 (1) 審判の告知を受ける者(被保佐人となるべき者を除く) 告知を受けた日から2週間以内 (2) 審判の告知を受ける者でない者、被保佐人となるべき者 被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び保佐人に選任される者が審 判の告知を受けた日のうち最も遅い日から2週間以内 保佐開始の審判の申立を却下する審判に対しては、申立人だけが審判の告知を受けた日から 2週間以内に即時抗告をすることができます。(家事事件手続法132条) 保佐開始の審判前の保全処分 1 財産管理者の選 任 ・ 事件関係者に対する指示 (家事事件手続法134条1項、126条1項) 家庭裁判所 (保佐開始の審判が高等裁判所に係属している場合には高等裁判所) は、保佐 開始の申立があった場合においにおいて、被保佐人となるべき者の生活 ・ 療養看護又は財産 の管理のため必要があるときは、申立により又は職権で担保を立てさせないで、保佐開始の申 立についての審判が効力を生じるまでの間、以下の保全処分をすることができます。 (1) 財産の管理者の選任 @ 財産の管理者の職務 ・ 権限等 (家事事件手続法134条6項) 財産の管理者は、管理すべき財産の目録を作成しなければなりません。 その費用は、被保佐人となるべき者の財産の中から支弁されます。 (民法27条1項) 財産の管理者が、法令の規定によりその管理すべき財産の目録を作成 する場合には、目録を2通作成し、その1通を家庭裁判所に提出しなければ なりません。また、家庭裁判所は、財産の管理者が作成した目録が不十分 であると認めるときは、管理者に対して、公証人に財産の目録を作成させる ことを命じることができます。(家事事件手続規則85条、82条) 財産の管理者の権限は、以下の行為に限定されます。 ア 財産の保存行為 イ 財産の性質を変えない範囲内における利用 ・ 改良行為 この権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、 その行為をすることができます。(民法28条) その他、財産の管理者については、委任における受任者に関する以下 の規定が準用されています。(家事事件手続法125条6項) ア 善良な管理者の注意義務 (民法644条) イ 事務処理において受け取った物の引渡し等 (民法646条) ウ 引き渡すべき金銭を消費した場合の責任 (民法647条) エ 事務処理に必要な費用等の償還請求等 (民法650条) A 財産の管理者に関する家庭裁判所の処分 家庭裁判所は、財産の管理者について以下の処分をすることができます。 (家事事件手続法134条6項) ア 財産の管理人に対し、財産の保存に必要と認める処分を命じる ことができます。(民法27条3項) イ いつでも財産の管理者を改任することができます。 (家事事件手続法125条1項) ウ 財産の管理者に対して、財産の状況の報告及び管理の計算を 命じることができます。 この報告及び計算に要する費用は、被保佐人となるべき者の 財産の中から支弁されます。(家事事件手続法125条2項、3項) エ 財産の管理者に対して、財産の管理及び返還について相当の 担保を立てさせることができます。(民法29条1項) オ 財産の管理者に対して、その提供した担保の増減、変更、免除を 命じることができます。 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命じる 審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を 嘱託しなければなりません。設定した抵当権の変更又は消滅の登 記についても同様です。(家事事件手続法125条4項、5項) 抵当権設定登記を嘱託するときは、嘱託書に抵当権設定を命 じる審判書の謄本を添付しなければなりません。抵当権の変更又 は消滅の登記を嘱託するときも同様です。 (家事事件手続規則85条、83条) カ 財産の管理者と被保佐人となるべき者との関係その他の事情に より、被保佐人となるべき者の財産の中から、財産の管理者に対し て相当な報酬を与えることができます。(民法29条2項) (2) 事件の関係人に対する、被保佐人となるべき者の生活 ・ 療養看護 ・ 財産の管理に関 する事項の指示 2 保佐命令 (家事事件手続法134条2項) 家庭裁判所は、保佐開始の申立があった場合において、被保佐人となるべき者の財産の 保全 のために特に必要があるときは、保佐開始の申立人の申立により、保佐開始の申立についての 審判の効力が生じるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法13条1項の行為(保 佐人の同意を要する行為)に限る)について、上記1の(1)の財産の管理者の保佐を受けることを 命じることができます。 保佐命令の審判があったときは被保佐人となるべき者がした財産管理者の同意のない財産上 の行為は、被保佐人となるべき者及び財産の管理者において取り消すことができます。この場合 には、被保佐人の行為の取り消しに関する民法の規定が適用されます。 (家事事件手続法134 条5項) 3 手続 保佐開始の審判前の保全処分の手続においては、保佐開始の審判手続と同様に被保佐人 となるべき者も自ら手続行為を行うことができます。(家事事件手続法129条、118条) 保佐命令は、仮の地位を定める仮処分ですので、審判を受ける者となるべき者 (被保佐人 となるべき者) の陳述を聴かなければすることができません。ただし、その陳述を聴く手続を経 ることによって保全処分の目的を達成することができない事情があるときは、陳述を聴く必要 はありません。(家事事件手続法107条) 保佐命令の審判は、当事者等の他上記1の(1)の財産の管理者にも告知しなければなりま せん。(家 事事件手続法134条3項) 4 即時抗告 (1) 1の財産の管理者の選任 ・ 事件関係者に対する指示の保全処分 即時抗告をすることはできません。(家事事件手続法110条2項) (2) 上記の申立を却下 する審判 即時抗告をす ることはできません。(家 事事件手続法110条1項) (3) 保佐命令 保佐開始の審判に対して即時抗告をすることができる者は、保佐命令に対して即時 抗告をすることができます。(家 事事件手続法110条2項) この場合、審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者についての即 時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者 が審判の告知を受け日のうち最も遅い日から進行します。 (家 事事件手続法134条4項) (4) 保佐命令の申立を却下する審判 申立人が即時抗告をすることができます。(家事事件手続法110条1項) 保佐開始の審判の取消し 家庭裁判所は、保佐開始の原因 (民法11条) が消滅したときは、以下の者の請求によって保佐開始 の審判を取り消さなければなりません。(民法14条) 1 取り消しを請求できる者 (1) 本人 (保佐開始の審判の取消しの審判においては、被保佐人も保佐人の同意を得ずに 自ら手続行為を行うことができます。(家事事件手続法129条、118条)) (2) 配偶者 (3) 四親等内の親族 (4) 未成年後見人 (5) 未成年後見監督人 (6) 保佐人 (7) 保佐監督人 (8) 検察官 2 手続 家庭裁判所は、保佐開始の審判の取消しの審判をするときは、被保佐人及び保佐人の陳述 を聴かなければなりません。(家事事件手続法130条1項) また、家庭裁判所は、被保佐人の精神の状況について医師の意見を聴かなければ、保佐開 始の審判の取消しの審判をすることはできません。ただし、明らかにその必要がないと認められ るときは別です。(家事事件手続法133条、119条2項) 保佐開始の審判の取消しの審判は、審判の当事者 ・ 利害関係参加人の他、保佐人及び保 佐監督人に告知しなければなりません。(家事事件手続法131条) 3 即時抗告 保佐開始の審判の取消しの申立を却下する審判に対しては、取消しの請求ができる者が即時 抗告をすることができます。(家事事件手続法132条1項) 保佐開始の審判の取消しの審判に対しては、即時抗告はできません。 保佐人の選任 家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で保佐人を選任します。(民法876条の2 1項) 1 保佐人の欠格事由 以下の者は、保佐人となることができません。(民法876条の2 2項、847条) (1) 未成年者 (2) 家庭裁判所で解任された法定代理人 ・ 保佐人 ・ 補助人 (3) 破産者 (4) 被保佐人に対して訴訟をしている者又は過去にしたことがある者、それらの者の 配偶者及び直系血族 (5) 行方の知れない者 法人は、保佐人となることができます。 2 保佐人の人数 家庭裁判所は、複数の保佐人を選任することができます。 家庭裁判所は、既に保佐人が選任されている場合でも必要があると認めるときは、被保佐 人 ・ その親族 ・ その他の利害関係人 ・ 保佐人の請求により、又は職権で更に保佐人を選 任することができます。(民法876条の2 2項、843条3項) 3 保佐人が欠けた場合 家庭裁判所は、保佐人が欠けたときは、被保佐人 ・ その親族 ・ その他の利害関係人の 請求により、又は職権で保佐人を選任します。(民法876条の2 2項、843条2項) 4 保佐人選任の審判 保佐人の選任の審判は、保佐開始の審判をした家庭裁判所が管轄します。 (家事事件手続法128条2項) 家庭裁判所は、保佐人選任の審判をするときは、被保佐人となるべき者又は被保佐人の 陳述を聴かなければなりません。 また、家庭裁判所は、保佐人選任の審判をするときは、保佐人となるべき者の意見を聴か なければなりません。(家事事件手続法130条) 保佐人の選任の審判事件においては、被保佐人となるべき者及び被保佐人は、保佐人等 の同意を得ることなく自ら手続行為をすることができます。(家事事件手続法129条、118条) 家庭裁判所は、保佐人を選任するには、以下の事情を考慮しなければなりません。 (民法876条の2 2項、843条4項) (1) 被保佐人の心身の状態、生活及び財産の状況 (2) 保佐人となるべき者の職業、経歴、被保佐人との利害関係の有無 (3) 法人を保佐人に選任しようとするときは、その事業の種類、内容、その法人 及び代表者と被保佐人との利害関係の有無 (4) 被保佐人の意見 (5) その他一切の事情 保佐開始の審判の申立の際に、申立人が保佐人の候補者を立てることができますが、そ の候補者が必ず選任されるわけではなく、家庭裁判所が上記ような一切の事情を考慮して 候補者以外の者を保佐人に選任することもあります。 保佐人が欠けたため保佐人選任の審判が申し立てられた場合には、審判がされる前であ っても、家庭裁判所の許可がなければ申立を取り下げることはできません。 (家事事件手続法133条、121条) 保佐人選任の審判、選任の申立を却下又は棄却する審判に対しては、即時抗告をす ることはできません。 保佐人の同意を要す る行為を定める審判 保佐開始の審判がされ保佐人が選任されると、被保佐人は民法13条1項の行為については保佐人 の同意を得なければすることができなくなります(被保佐人の行為の制限 の項参照)。 さらに家庭裁判所は、保佐開始の申立をすることができる者 (一定の場合の市町村長を含む) 又は 保佐人、保佐監督人の請求により、被保佐人が民法13条1項の行為以外の行為をする場合であっても 保佐人の同意を得なければならい旨の審判をすることができます。ただし、日用品の購入その他日常生 活に関する行為については、保佐人の同意を要する行為として指定することはできません。 (民法13条2項、老人福祉法32条、知的障害者福祉法28条、精神保健及び精神障害者福祉に関する 法律51条の11の2) 1 審判の手続 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件においては、被保佐人とな るべき者又は被保佐人は、法定代理人によらず又は保佐人等の同意を得ることなく自ら手 続行為を行うことができます。(家事事件手続法129条、118条) 家庭裁判所は、保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判をする場合には、 被保佐人となるべき者又は保佐人の陳述を聴かなければなりません。 (家事事件手続法130条1項) 2 審判の告知 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判は、事件の当事者 ・ 利害関係 参加人 ・ その他の審判を受けるべき者のほか、保佐人又は保佐人となるべき者及び保佐 監督人又は保佐監督人となるべき者に告知しなければなりません。 (家事事件手続法131条) 3 即時抗告 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判に対しては、被保佐人が即時抗 告をすることができます。(家事事件手続法132条) 申立を却下する審判に対しては、即時抗告をすることはできません。 保佐人の同意を要 する行為を定める審判の取消 家庭裁判所は、保佐開始の審判の取消しを請求できる者の請求により、保佐人の同意を得なければ ならない行為を定める審判の全部又は一部を取り消すことができます。(民法14条2項) 1 審判の手続 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件においては、 被保佐人は保佐人の同意を得ることなく自ら手続行為を行うことができます。 (家事事件手続法129条、118条) 2 審判の告知 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判は、事件の当事 者 ・ 利害関係参加人 ・ その他の審判を受けるべき者のほか、保佐人及び保佐監督人に 告知しなければなりません。(家事事件手続法131条) 3 即時抗告 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判に対しては、即 時抗告をすることはできません。申立を却下する審判に対しても即時抗告はできません。 保佐人の同意に 代わる許可の審判 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがない にもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許 可を与えることができます。(民法13条3項) 1 審判の手続 保佐人の同意に代わる許可の審判事件においては、被保佐人は保佐人の同意を得る ことなく自ら手続行為を行うことができます。 (家事事件手続法129条、118条) また、家庭裁判所は、保佐人の同意に代わる許可の審判をする場合には、保佐人の 陳述を聴かなければなりません。(家事事件手続法130条1項) 2 審判の告知 保佐人の同意に代わる許可の審判は、事件の当事者 ・ 利害関係参加人 ・ その他の 審判を受けるべき者のほか、保佐人及び保佐監督人に告知しなければなりません。 (家事事件手続法131条) 3 即時抗告 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判に対しては、申立人が即時抗告 をすることができます。(家事事件手続法132条1項) 保佐人の同意に代わる許可の審判に対しては即時抗告はできません。 代理権付与の審判 家庭裁判所は、保佐開始の審判を申立てることができる者 (一定の場合の市町村長を含む) 、保佐 人又は保佐監督人の請求により、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与 する旨の審判をすることができます。(民法876条の4 1項、老人福祉法32条、知的障害者福祉法28条、 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律51条の11の2) 1 審判手続 保佐人に対する代理権付与の審判手続においては、被保佐人となるべき者又は被保佐人は、 代理人によらず又保佐人等の同意を得ずに自ら手続行為を行うことができます。 (家事事件手続法129条、118条) 被保佐人となるべき者又は被保佐人以外の者の請求により、保佐人に代理権を付与する審判 をするときは、これらの者の同意が必要です。(民法876条の4 2項) 保佐人に代理権を付与する旨の審判は、当事者・利害関係参加人・その他の審判を受ける者 のほか、被保佐人及び保佐監督人(保佐監督人選任の審判と同時にされたときは、保佐監督人 となるべき者)に告知しなければなりません。(家事事件手続法131条) 保佐人に代理権を付与する旨の審判及び審判の申立を却下する審判に対しては、いずれも 即時抗告をすることはできません。 2 審判の取消 家庭裁判所は、保佐人に対する代理権付与の審判を請求することができる者の請求によって、 保佐人に対して代理権を付与する旨の審判の全部又は一部を取り消すことができます。 (民法876条の4 3項) 保佐人に対して代理権を付与する旨の審判の取消の審判手続においては、被保佐人は自ら 手続行為を行うことができます。(家事事件手続法129条、118条) 保佐人に代理権を付与する審判の取消の審判は、当事者・利害関係参加人・その他の審判を 受ける者のほか、被保佐人及び保佐監督人に告知しなければなりません。 (家事事件手続法131条) 保佐人に代理権を付与する審判を取り消す審判及び取り消しの請求を却下する審判に対して は、即時抗告をすることはできません。 臨時保佐人 保佐人又は法人が保佐人となっている場合にはその代表する者と、被保佐人との利益が相反する行為 については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。ただし、保佐監督 人が選任されている場合は、その必要はありません。(民法876条の2 3項) 保佐人の辞任 ・ 解任 1 保佐人の辞任 保佐人は、正当な事由があるときは家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。 (民法876条の2 2項、844条) 勝手に辞任することはできません。 保佐人が辞任したことによって、新たに保佐人を選任する必要が生じたときは、辞任した保佐 人は遅滞なく新たな保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。 (民法876条の2 2項、845条) 2 保佐人の解任 家庭裁判所は、保佐人に不正な行為、著しい不行跡その他保佐の任務に適しない事由がある ときは、下記の者の請求により又は職権でその保佐人を解任することができます。 (民法876条の2 2項、846条) 保佐人の解任を請求できるのは、以下の者です。 (1) 保佐監督人 (2) 被保佐人 (被保佐人は、保佐人解任の審判においては、保佐人の同意を得ずに 自ら手続行為を行うことができます。(家事事件手続法129条、118条) (3) 被保佐人の親族 (4) 検察官 家庭裁判所調査官は、保佐人に解任事由があると認めるときは、その旨を以下の事項を記載 した書面により家庭裁判所に報告しなければなりません。 (家事事件手続規則85条、79条1、2項) (1) 解任すべき保佐人及び被保佐人の氏名及び住所 (保佐人が法人の場合は、その名称及び住所) (2) 保佐開始の原因及び年月日 (3) 解任すべき保佐人が就職した年月日 (4) 解任すべき事由 (5) その他参考となる事項 家庭裁判所は、保佐人の解任の審判をするときは、保佐人の陳述を聴かなければなりません。 (家事事件手続法130条1項) 保佐人の解任の審判に対しては、解任された保佐人が即時抗告をすることができます。 保佐人の解任の申立てを却下する審判に対しては、申立人 ・ 保佐監督人 ・ 被保佐人及び その親族が即時抗告をすることができます。(家事事件手続法132条1項) 保佐人の解任の審判前の保全処分 1 保佐人の職務の執行停止 ・ 職務代行者の選任 (家事事件手続法135条、127条1項) 家庭裁判所は、保佐人の解任の審判事件が係属している場合において、被保佐人の利益の ため必要があるときは、保佐人の解任の申立をした者の申立により又は職権で、保佐人の解任 についての審判が効力を生じるまでの間、保佐人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者 を選任することができます。 この保全処分の手続においては、被保佐人も保佐人等の同意を得ることなく自ら手続行為を 行うことができます。(家事事件手続法129条、118条) 2 審判の効力の発生時期 (家事事件手続法135条、127条2項) 保佐人の職務の執行を停止する審判は、以下のいずれかの者に告知することによって効力が 生じます。 (1) 職務の執行を停止される保佐人 (2) 他の保佐人 (3) 審判により選任された職務代行者 3 職務代行者 (家事事件手続法135条、127条3項、4項) 家庭裁判所は、いつでも選任した職務代行者を改任することができます。また、選任し、改任 した職務代行者に対して、被保佐人の財産の中から相当な報酬を与えることができます。 保佐監督人 1 保佐監督人を選任する場合 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、以下の者の請求により又は職権で保佐監督人 を選任することができます。(民法876条の3 1項) 保佐監督人の選任を請求できる者 (1) 被保佐人 (保佐監督人の選任の審判においては、被保佐人も保佐人の同意を得る ことなく自ら手続行為を行うことができます。(家事事件手続法129条、118条)) (2) 被保佐人の親族 (3) 保佐人 2 保佐監督人の欠格事由 次の者は、保佐監督人となることができません。(民法847条、850条、876条の3 2項) (1) 未成年者 (2) 家庭裁判所で解任された法定代理人 ・ 保佐人 ・ 補助人 (3) 破産者 (4) 被保佐人に対して訴訟をしている者又は過去にしたことがある者、それらの者の 配偶者及び直系血族 (5) 行方の知れない者 (6) 保佐人の配偶者 ・ 直系血族 ・ 兄弟姉妹 法人は、保佐監督人となることができます。 3 保佐監督人選任の審判 家庭裁判所は、保佐監督人の選任の審判をするときは、被保佐人又は被保佐人となるべき者 の陳述を聴かなければなりません。(家事事件手続法130条1項) また、家庭裁判所は、保佐監督人の選任の審判をするときは、保佐監督人となるべき者の意見 を聴かなければなりません。(家事事件手続法130条2項) 家庭裁判所は、保佐監督人を選任するには、以下の事情を考慮しなければなりません。 (民法876条の3 2項、843条4項) (1) 被保佐人の心身の状態、生活及び財産の状況 (2) 保佐監督人となるべき者の職業、経歴、被保佐人との利害関係の有無 (3) 法人を保佐監督人に選任しようとするときは、その事業の種類、内容、その法人 及び代表者と被保佐人との利害関係の有無 (4) 被保佐人の意見 (5) その他一切の事情 4 保佐監督人の辞任 保佐監督人は、正当な事由があるときは家庭裁判所の許可を得て辞任することができ ます。(民法876条の3 2項、844条) 勝手に辞任することはできません。 5 保佐監督人の解任 保佐監督人の解任については、保佐人の場合と同様です。(民法876条の3 2項、846条) 6 保佐監督人の解任の審判前の保全処分 保佐人の場合と同様です。 (家事事件手続法135条) 保佐の事務 保佐開始の審判がされ保佐人が選任されると、保佐の事務が開始します。保佐人は、保佐監督人や家庭 裁判所の監督の下で保佐の事務を行います。 保佐人の義務 保佐人は、保佐の事務を行うに当たっては、被保佐人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び 生活の状況に配慮しなければならない。(民法876条の5 1項) また、保佐人は、委任における受任者と同様、善良な管理者の注意をもって、保佐の事務を行う義務 を負います。(民法876条の5 2項、644条) 保佐人の権限 1 同意権 保佐人は、被保佐人が以下の行為をするについて同意する権限を有しています。 (民法13条1項、2項) (1) 民法13条1項各号の行為 (2) 家庭裁判所が、(1)以外の行為について保佐人の同意を得なければならない 旨の審判をした場合における、審判に定めらた行為 被保佐人がこれらの行為をする場合において、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれ がないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人 の同意に代わる許可を与えることができます。(民法13条3項) 被保佐人が、保佐人の同意又は同意に代わる家庭裁判所の許可を得ずにこれらの行為 をしたときは、その行為は取り消すことができます。(民法13条4項) 2 取消 ・ 追認権 保佐人は、被保佐人が保佐人の同意が必要な行為を保佐人の同意又は同意に代わる許可 を得ずに行った場合、その行為を取り消すことができます。(民法120条1項) また、保佐人は、取り消すことができる被保佐人の行為を追認し、被保佐人の行為を当初か ら有効であったものとすることができます。(民法122条) 3 代理権 家庭裁判所が、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨 の審判をした場合には、保佐人はその法律行為について被保佐人を代理することができます。 保佐人が被保佐人を代理してその財産に関する法律行為を行う場合であっても、被保佐人 の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、被保佐人の同意を得なければなりません。 (民法876条の5 2項、824条但書) 4 保佐人が数人ある場合の権限の行使 保佐人が複数ある場合には、原則として各保佐人が単独でその権限を行使することができ ますが、家庭裁判所は、職権で数人の保佐人が共同して又は事務を分掌してその権限を行使 すべきことを定めることができます。また、家庭裁判所は、この権限行使についての定めを職 権で取り消すことができます。 保佐人が数人ある場合に、保佐人に対して意思表示をする第三者は、家庭裁判所が上記 の保佐人の権限行使についての定めをしている場合であっても、保佐人の1人に対して意思 表示をすれば足ります。 (民法876条の5 2項、859条の2) 居住用不動産 の処分 保佐人が、被保佐人に代わって、被保佐人の居住の用に供する建物又はその敷地について、売却 ・ 賃貸 ・ 賃貸借の解除 ・ 抵当権の設定 ・ その他のこれらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可 を得なければなりません。(民法876条の5 2項、859条の3) 1 居住用不動産 被保佐人が居住の用に供する建物又はその敷地とは、被保佐人が現に居住の用に供して いる場合に限らず、将来居住の用に供する可能性のあるものも含まれます。 2 家庭裁判所の許可 保佐人が家庭裁判所から被保佐人の居住用不動産の処分について代理権を付与されてい る場合に、保佐人が被保佐人に代わってその居住用不動産を処分するには、代理権付与の 審判とは別途、家庭裁判所の許可を得なければなりません。被保佐人が自らその居住用不動 産を処分する場合には、家庭裁判所の許可は必要とされていませんので、保佐人がこれに同 意を与える場合には、家庭裁判所の許可を得る必要はありません。 3 許可を得ずにした処分の効力 保佐人が家庭裁判所の許可を得ずに被保佐人の居住用不動産を処分した場合には、その 処分は無効です。 保佐の事務の費用 保佐人が保佐の事務を行うために必要な費用は、被保佐人の財産の中から支払われます。 (民法876条の5 2項、861条2項) 保佐人の報酬 家庭裁判所は、保佐人及び被保佐人の資力その他の事情により、被保佐人の財産の中から相当な 報酬を保佐人に与えることができます。(民法876条の5 2項、862条) 保佐の事務の監督 保佐監督人又は家庭裁判所は、いつでも、保佐人に対して保佐の事務の報告や財産の目録の提出 を求めることができるとともに、保佐の事務や被保佐人の財産の状況を自ら調査することができます。 また、家庭裁判所は、保佐監督人 ・ 被保佐人 ・ 被保佐人の親族 ・ その他の利害関係人の請求に り、又は職権で、被保佐人の財産の管理その他の保佐の事務について、保佐人に対して必要な処分を 命じることができます。(民法876条の5 2項、863条) 家庭裁判所調査官は、保佐の事務に関する処分の必要があると認めるときは、その旨を以下の事項 を記載した書面で家庭裁判所に報告しなければなりません。(家事事件手続規則85条、80条) 1 保佐人及び被保佐人の氏名及び住所 (保佐人が法人の場合は、その名称及び住所) 2 保佐開始の原因及び年月日 3 保佐人が就職した年月日 4 処分を必要とすべき事由 5 その他参考となる事項 家庭裁判所は、いつでも、保佐人に対して、被保佐人の療養看護及び財産の管理その他の保佐の 事務に関し相当と認める事項を指示することができます。(家事事件手続規則85条、81条1項) また、家庭裁判所は、いつでも、保佐監督人に対して、保佐監督の事務に関し相当と認める事項を 指示することができます。(家事事件手続規則85条、81条2項) 保佐監督人の職務 1 職務の内容 保佐監督人は、以下の職務を行います。(民法876条の3 2項、851条) (1) 保佐人の事務を監督すること (2) 保佐人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること (3) 急迫の事情がある場合に、必要な処分をすること (4) 保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為について、 被保佐人を代表し、又は被保佐人がこれをすることに同意すること 2 保佐監督人の義務 保佐監督人は、委任の場合の受任者と同様、善良な管理者の注意をもって事務を処理する 義務を負います。(民法876条の3 2項、644条) 3 保佐監督人が数人ある場合 家庭裁判所は、数人の保佐監督人を選任することができます。この場合には、各保佐監督人 は原則としてそれぞれ単独で権限を行使することができますが、家庭裁判所は、職権で数人の 保佐監督人が共同して、又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができま す。(民法876条の3 2項、859条の2) 4 居住用不動産の処分 保佐監督人が被保佐人に代わって、被保佐人の居住の用に供する建物又はその敷地につい て、売却 ・ 賃貸 ・ 賃貸借の解除 ・ 抵当権の設定 ・ その他これに準じる処分をするには、保佐 人の場合と同様、家庭裁判所の許可を得なければなりません。 (民法876条の3 2項、859条の3) 5 保佐監督人の職務の費用 保佐監督人が監督の事務を行うために必要な費用は、被保佐人の財産の中から支払われ ます。(民法876条の3 2項、861条2項) 6 保佐監督人の報酬 家庭裁判所は、保佐監督人及び被保佐人の資力その他の事情によって、被保佐人の財産 の中から相当な報酬を保佐監督人に与えることができます。(民法876条の3 2項、862条) 家庭裁判所による保 佐の事務の監督に関する処分 家庭裁判所は、いつでも、保佐人に対して保佐の事務の報告や財産の目録の提出を求めることがで きるとともに、保佐の事務や被保佐人の財産の状況を自ら調査することができます。 また、家庭裁判所は、保佐監督人 ・ 被保佐人 ・ 被保佐人の親族 ・ その他の利害関係人の請求に り、又は職権で、被保佐人の財産の管理その他の保佐の事務について、保佐人に対して必要な処分を 命じることができます。(民法876条の5 2項、863条) 具体的には、家庭裁判所は、以下の処分を行います。(家事事件手続法133条、124条) 1 調査 家庭裁判所は、適当な者に、保佐の事務又は被保佐人の財産の状況を調査させること ができます。家庭裁判所は、この調査を家庭裁判所調査官にさせることができます。 2 財産の管理 家庭裁判所は、適当な者に、臨時に被保佐人の財産の管理をさせることができます。 財産の管理をする者については、委任における受任者に関する以下の規定が準用され ます。 (1) 善良な管理者の注意義務 (民法644条) (2) 事務処理において受け取った物の引渡し等 (民法646条) (3) 引き渡すべき金銭を消費した場合の責任 (民法647条) (4) 事務処理に必要な費用等の償還請求等 (民法650条) 3 調査 ・ 管理者の報酬 家庭裁判所は、上記の調査又は管理をした者に対して、被保佐人の財産の中から相当 な報酬を与えることができます。 保佐の終了 後見開始の審判が取り消されたとき、成年被後見人が死亡したときには、後見は終了します。 保佐の計算 保佐人の任務が終了したときは、保佐人又はその相続人は、2ヶ月以内にその管理の計算 (保佐の 計算) をしなければなりません。2ヶ月の期間は、家庭裁判所において伸長することができます。 (民法876条の5 3項、870条) 保佐監督人が選任されているときは、上記の保佐の計算は、保佐監督人の立会いのもとでしなければ なりません。(民法876条の5 3項、871条) 保佐人と被保佐人との間の清算 1 利息の支払い 保佐人と被保佐人との間で、相互に返還すべき金額がある場合、その返還すべき 金額には 後見の計算が終了した時から、利息を付さなければなりません。 (民法876条の5 3項、873条1項) 2 保佐人の損害賠償責任 保佐人が、自己のために被保佐人の金銭を消費した場合には、消費した時から利息 を付さ なければならず、更に損害があるときは、その損害を賠償する責任を負います。 (民法876条の5 3項、873条2項) 保佐終了後の保佐人の事務処理責任 保佐人は、保佐が終了した場合でも、急迫の事情があるときは被保佐人又はその相続人 が事務を 処理することができるようになるまで、必要な処分をしなければなりません。 (民法876条の5 3項、654条) 保佐監督人についても同様です。(民法876条の3 2項) 保佐終了の対抗要件 保佐が終了すると、保佐人の権限は消滅します。しかし、被保佐人との間で法律関係を結んだ相手方 との関係では、保佐の終了事由を相手方に対して通知するか、相手方がこれを知っていたときでなけれ ば、保佐の終了事由を相手方に対抗することはできません。(民法876条の5 3項、655条) 保佐監督人についても同様です。(民法876条の3 2項) 保佐に関して生じた債権の消滅時効 保佐に関して、保佐人又は保佐監督人と被保佐人との間で生じた債権は、保佐人又は保佐監督人の 権限が消滅した時から5年間行使しなかった場合には、時効により消滅します。 (民法876条の5 3項、832条1項) 保佐が終了する前に、保佐人又は保佐監督人の権限が消滅した場合 (辞任や解任等)には、消滅時 効の期間は、後任の保佐人が就職した時から起算します。(民法876条の5 3項、832条2項) |
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