な か や ま
ま さ の ぶ 司法書士 ・ 行政書士 ・ 土地家屋調査士 中 山 雅 史 事 務 所 TEL(079)299 −2816 〒 670−0084 兵庫県姫路市東辻井4丁目9番12号 |
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成年後見のページ |
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成年後見の詳細 |
成年後
見制度とは 成年後見とは、精神上の障害により判断能力の衰えた方 (認知症の方や知的障害のある方等) のために、その財産の管理や 重要な財産上の行為 (契約等) について、その方の判断能力を補うために後見人等が援助を行う制度です。成年後見には、法定 後見と任意後見があり、法定後見には、後見 ・ 保佐 ・ 補助の3つがあります。 |
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後見の開始 後見は、家庭裁判所の後見開始の審判により開始します。後 見開始の審判を受けた方を成年被後見人とい い、その方のために後見人選任されます。 後見開始の事由 以下の方について、後見開始の審判がなされます。 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方が対象となります。(民法7条) つまり、常に判断能力を欠く状況にあり、ご自身で財産の管理や財産上の行為を行うことができない方 です。 後見開始の審判を申し立てること ができる者 本人 ・ 配偶者 ・ 四親等内の親族 ・ 未成年後見人 ・ 未成年後見監督人 ・ 保佐人 ・ 保佐監督人 ・ 補助人 ・ 補助監督人 この他、検察官も申し立てることができます。(民法7条) 市町村長は、以下の場合には後見開始の審判を請求することができます。 1 65歳以上の者について、その福祉を図るため特に必要があると認めるとき (老人福祉法32条) 2 知的障害者について、その福祉を図るため特に必要があると認めるとき (知的障害者福祉法28条) 3 精神障害者について、その福祉を図るため特に必要があると認めるとき (精神保健及び精神障害者福祉に関する法律51条の11の2) 成年被後見人の行為の効力 成年後見開始の審判を受けた方を成年被後見人といい、その方には成年後見人が付されます。 (民法8条) 成年被後見人がした法律行為 (契約等の法的な効果の発生する意思表示) は、日用品の購入その他 の日常生活に関するものを除いて、取り消すことができます。(民法9条) 1 取消権者 成年被後見人の行為を取り消すことができるのは、成年被後見人本人と成年後見人です。 成年被後見人が亡くなった場合には、その相続人も取り消すことができます。(民法120条1項) 2 取消の効果 成年被後見人の行為が取り消された場合には、その行為は最初から無効であったものと みなされます。その行為によって成年被後見人が行為の相手方から利益を得ている場合に は、その利益を相手方に返還する必要があります。取り消された行為は、初めからなかった ことになりますので、本来であれば受けた利益を全て返還すべきこととなりますが、成年被後 見人を保護するために、返還すべき利益の範囲は現に利益を受けている限度に制限されて います。従って、利益が現存していなければ、返還する義務はありません。(民法121条) 3 追認 取り消すことができる行為は、取消権者において追認することができます。追認するとその 行為は、有効な行為として確定しますので、以後は取り消すことはできません。(民法122条) (1) 成年被後見人による追認 (民法124条1項、2項) 成年被後見人は、その行為の取消しの原因となっていた状態が消滅した後、つ まり後見開始の事由が消滅した後でなければ追認をすることはできません。 成年被後見人は、後見開始の事由が消滅した後に、取り消すことのできる行為 を了知したときは、了知した後でなければ追認することはできません。 (2) 成年後見人よる追認 (民法124条3項) 成年後見人が追認するについては、上記のような制限はありません。いつでも 追認することができます。 4 取消し及び追認の方法 取消し及び追認は、行為の相手方が確定しているときは、相手方に対する意思表示により 行います。(民法123条) 5 法定追認 追認の意思表示がされていなくても、取消すことができる行為について、追認をすることが できるとき以降に、以下の事実があったときは、追認したものとみなされます。ただし、異議を とどめていれば、追認したものとはみなされません。(民法125条) (1) 全部又は一部の履行 取消権者が、相手方より全部又は一部の履行を受けた場合も含まれます。 (2) 履行の請求 取消権者が、相手方に対して履行を請求した場合のことで、相手方からの 取消権者に対する履行の請求は含まれません。 (3) 更改 (4) 担保の供与 (5) 取消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡 (6) 強制執行 6 取消権の行使期間 取消権は、追認することができるときから5年間行使しないときは、時効によって消滅しま す。行為の時から20年を経過したときも同様です。(民法126条) 7 相手方の催告権 成年被後見人が法律行為をした場合には、法律行為の相手方は、その行為が取り消さ れるまでは、その行為の効力を確定させるために以下の催告をすることができます。 (1) 成年被後見人について後見開始の事由が消滅した場合 成年被後見人であった者に対して、1ヶ月以上の期間を定めて、その期間 内にその行為を追認するかどうか確答するよう催告することができます。 その期間内に確答がないときは、その行為を追認したものみなされ、その 行為は初めから有効であったことに確定します。(民法20条1項) (2) 後見開始の事由が消滅しない間 法定代理人である成年後見人に対して、(1)と同様の催告をすることができ ます。この場合に、成年後見人より期間内に確答がないときは、成年後見人 が成年被後見人の法律行為を追認したものみなされ、成年被後見人がした 法律行為は初めから有効であったことに確定します。(民法20条2項) ただし、成年後見監督人が選任されている場合において、成年後見人が 成年被後見人の法律行為を追認するのに成年後見監督人の同意を必要と する場合 (民法864条) には、成年後見人が期間内に確答しなくても追認し たものとはみなされず、逆にその行為を取り消したものとみなされ、その行為 は初めから無効であったことに確定します。(民法20条3項) 後見開始の審判 1 管轄裁判所 後見開始の審判の申立は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所に 申し立てる必要があります。(家事事件手続法117条1項) 後見開始の審判をした家庭裁判所は、その事件に関してその後になされる審判 (後見人の 選任 ・ 解任、後見開始の審判の取消等) についても管轄裁判所となります。 (家事事件手続法117条2項) 2 審判の手続 後見開始の審判においては、成年被後見人となるべき者も、法定代理人によらずに自ら手続 行為を行うことができます。成年被後見人となるべき者が被保佐人又は被補助人の場合でも、 保佐人や補助人の同意を得ずに自ら手続行為を行うことができます。(家事事件手続法118条) 家庭裁判所は、後見開始の審判をする場合には、成年被後見人となるべき者の精神の状況に ついて鑑定をしなければなりません。ただし、明らかに必要がないと認めるときは、鑑定をすること なく後見開始の審判をすることができます (家事事件手続法119条1項)。審判の申立に際しては、 申立書とともに成年被後見人となるべき者を診断した医師の診断書を提出することになりますので、 その診断書だけで判断が可能なときは家庭裁判所における鑑定を経ることなく後見開始の審判が なされます。鑑定費用は、申立人の負担となります。 家庭裁判所は、後見開始の審判をする場合には、成年被後見人となるべき者が申立人である ときを除いて、その者の陳述を聴かなければなりません。ただし、成年被後見人となるべき者の 心身の障害により陳述を聴くことができないときは、その者の陳述を聴く必要はありません。 (家事事件手続法120条1項) 家庭裁判所は、後見開始の審判をしたときは、成年被後見人となるべき者に通知するとともに、 事件の当事者 ・ 利害関係参加人 ・ 成年後見人に選任される者 ・ 任意後見契約が効力を生じて いる場合には、後見開始の審判により終了する任意後見契約の任意後見人及び任意後見監督人 に、告知しなければなりません。(家事事件手続法122条、74条1項) 後見開始の審判をする場合において、成年被後見人となるべき者が被保佐人又は被補助人で あるときは、保佐開始の審判又は補助開始の審判を取り消さなければなりません。(民法19条) 3 申立の取下 後見開始の審判の申立は、審判がされる前であっても家庭裁判所の許可がなければ、取り下 げることはできません。(家事事件手続法121条) 後見開始の審判の申立を取り下げるときは、その理由を明らかにしなければなりません。 (家事事件手続規則78条1項) 申立の取下げの許可があったときは、裁判所書記官は、その旨を当事者及び利害関係参加 人に通知しなければなりません。(家事事件手続規則78条3項) 4 即時抗告 後見開始の審判に対しては、後見開始の審判の申立ができる者 (民法7条) ・ 任意後見契約 が登記されている場合の任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人は、即時抗告により不 服を申し立てることができます。即時抗告の期間は、審判の告知を受ける者については、告知を 受けた日から2週間以内、その他の者については、成年後見人に選任される者が審判の告知を 受けた日から2週間以内です。 後見開始の審判の申立を却下する審判に対しては、申立人だけが審判の告知を受けた日から 2週間以内に即時抗告をすることができます。(家事事件手続法123条) 後見開始の審判前の保全処分 1 財産管理者の選 任 ・ 事件関係者に対する指示 (家事事件手続法126条1項) 家庭裁判所 (後見開始の審判が高等裁判所に係属している場合には高等裁判所) は、後見 開始の申立があった場合においにおいて、成年被後見人となるべき者の生活 ・ 療養看護又は 財産の管理のため必要があるときは、申立により又は職権で担保を立てさせないで、後見開始 の申立についての審判が効力を生じるまでの間、以下の保全処分をすることができます。 (1) 財産の管理者の選任 @ 財産の管理者の職務 ・ 権限等 (家事事件手続法126条8項) 財産の管理者は、管理すべき財産の目録を作成しなければなりません。 その費用は、成年被後見人となるべき者の財産の中から支弁されます。 (民法27条1項) 財産の管理者が、法令の規定によりその管理すべき財産の目録を作成 する場合には、目録を2通作成し、その1通を家庭裁判所に提出しなければ なりません。また、家庭裁判所は、財産の管理者が作成した目録が不十分 であると認めるときは、管理者に対して、公証人に財産の目録を作成させる ことを命じることができます。(家事事件手続規則84条、82条) 財産の管理者の権限は、以下の行為に限定されます。 ア 財産の保存行為 イ 財産の性質を変えない範囲内における利用 ・ 改良行為 この権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、 その行為をすることができます。(民法28条) その他、財産の管理者については、委任における受任者に関する以下 の規定が準用されています。(家事事件手続法125条6項、126条8項) ア 善良な管理者の注意義務 (民法644条) イ 事務処理において受け取った物の引渡し等 (民法646条) ウ 引き渡すべき金銭を消費した場合の責任 (民法647条) エ 事務処理に必要な費用等の償還請求等 (民法650条) A 財産の管理者に関する家庭裁判所の処分 家庭裁判所は、財産の管理者について以下の処分をすることができます。 (家事事件手続法126条8項) ア 財産の管理人に対し、財産の保存に必要と認める処分を命じる ことができます。(民法27条3項) イ いつでも財産の管理者を改任することができます。 (家事事件手続法125条1項) ウ 財産の管理者に対して、財産の状況の報告及び管理の計算を 命じることができます。 この報告及び計算に要する費用は、成年被後見人となるべき者 の財産の中から支弁されます。(家事事件手続法125条2項、3項) エ 財産の管理者に対して、財産の管理及び返還について相当の 担保を立てさせることができます。(民法29条1項) オ 財産の管理者に対して、その提供した担保の増減、変更、免除を 命じることができます。 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命じる 審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を 嘱託しなければなりません。設定した抵当権の変更又は消滅の登 記についても同様です。(家事事件手続法125条4項、5項) 抵当権設定登記を嘱託するときは、嘱託書に抵当権設定を命 じる審判書の謄本を添付しなければなりません。抵当権の変更又 は消滅の登記を嘱託するときも同様です。 (家事事件手続規則84条、83条) カ 財産の管理者と成年被後見人となるべき者との関係その他の 事情により、成年被後見人となるべき者の財産の中から、財産の 管理者に対して相当な報酬を与えることができます。 (民法29条2項) (2) 事件の関係人に対する、成年被後見人となるべき者の生活 ・ 療養看護 ・ 財産の管理 に関する事項の指示 2 後見命令 (家事事件手続法126条2項) 家庭裁判所は、後見開始の申立があった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の 保全のために特に必要があるときは、後見開始の申立人の申立により、後見開始の申立につい ての審判の効力が生じるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為について、上記1 の(1)の財産の管理者の後見を受けることを命じることができます。 ただし、成年被後見人が単独ですることができる行為 (民法9条ただし書) は除かれます。 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為は、成年被 後見人となるべき者及び財産の管理者において取り消すことができます。この場合には、成年被 後見人の行為の取り消しに関する民法の規定が適用されます。(家事事件手続法126 条7項) 3 手続 後見開始の審判前の保全処分の手続においては、後見開始の審判手続と同様に成年被後見 人となるべき者も自ら手続行為を行いことができます。(家事事件手続法118条) 後見命令は、仮の地位を定める仮処分ですので、審判を受ける者となるべき者 (成年被後見 人 となるべき者) の陳述を聴かなければすることができません。ただし、その陳述を聴く手続を 経ることによって保全処分の目的を達成することができない事情があるときは、陳述を聴く必要 はありません。(家事事件手続法107条) また、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその陳述を聴くことができないときは、 陳述を聴く手続を経ずに後見命令の審判をすることができます。(家 事事件手続法126条3項) 後見命令の審判は、上記1の(1)の財産の管理者に告知することによって効力を生じます。 (家事事件手続法126条4項) 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に対しても通知しなければなりません。 (家事事件手続法126条5項) 4 即時抗告 (1) 1の財産の管理者の選任 ・ 事件関係者に対する指示の保全処分 即時抗告をすることはできません。(家事事件手続法110条2項) (2) 上記の申立を却下 する審判 即時抗告をす ることはできません。(家 事事件手続法110条1項) (3) 後見命令 後見開始の審判に対して即時抗告をすることができる者は、後見命令に対して即時 抗告をすることができます。(家 事事件手続法110条2項) この場合、審判の告知を受ける者でない者についての即時抗告の期間は、財産の 管理者が審判の告知を受け日から進行します。(家 事事件手続法126条6項) (4) 後見命令の申立を却下する審判 申立人が即時抗告をすることができます。(家事事件手続法110条1項) 後見開始の審判の取消し 家庭裁判所は、後見開始の原因 (民法7条) が消滅したときは、以下の者の請求によって後見開始の 審判を取り消さなければなりません。(民法10条) 1 取り消しを請求できる者 (1) 本人 (後見開始の審判の取消しの審判においては、成年被後見人も法定代理人によ らずに自ら手続行為を行うことができます。(家事事件手続法118条)) (2) 配偶者 (3) 四親等内の親族 (4) 後見人 (未成年後見人及び成年後見人) (5) 後見監督人 (未成年後見監督人及び成年後見監督人) (6) 検察官 2 手続 家庭裁判所は、後見開始の審判の取消しの審判をするときは、成年被後見人及び成年後見 人の陳述を聴かなければなりません。(家事事件手続法120条1項) また、家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況について医師の意見を聴かなければ、後見 開始の審判の取消しの審判をすることはできません。ただし、明らかにその必要がないと認めら れるときは別です。(家事事件手続法119条2項) 後見開始の審判の取消しの審判は、審判の当事者 ・ 利害関係参加人の他、成年後見人及び 成年後見監督人に告知しなければなりません。(家事事件手続法122条2項) 3 即時抗告 後見開始の審判の取消しの申立を却下する審判に対しては、取消しの請求ができる者が即時 抗告をすることができます。(家事事件手続法123条1項) 後見開始の審判の取消しの審判に対しては、即時抗告はできません。 後見人の選任 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で成年後見人を選任します。(民法843条1項) 1 後見人の欠格事由 以下の者は、後見人となることができません。(民法847条) (1) 未成年者 (2) 家庭裁判所で解任された法定代理人 ・ 保佐人 ・ 補助人 (3) 破産者 (4) 被後見人に対して訴訟をしている者又は過去にしたことがある者、それらの者の 配偶者及び直系血族 (5) 行方の知れない者 法人は、成年後見人となることができます。 2 成年後見人の人数 家庭裁判所は、複数の成年後見人を選任することができます。 家庭裁判所は、既に成年後見人が選任されている場合でも必要があると認めるときは、 成年被後見人 ・ その親族 ・ その他の利害関係人 ・ 成年後見人の請求により、又は職権 で更に成年後見人を選任することができます。(民法843条3項) 3 成年後見人が欠けた場合 家庭裁判所は、成年後見人が欠けたときは、成年被後見人 ・ その親族 ・ その他の利害 関係人の請求により、又は職権で成年後見人を選任します。(民法843条2項) 4 後見人選任の審判 成年後見人の選任の審判は、後見開始の審判をした家庭裁判所が管轄します。 (家事事件手続法117条2項) 家庭裁判所は、成年後見人選任の審判をするときは、成年被後見人となるべき者又は成 年被後見人の陳述を聴かなければなりません。ただし、心身の障害により陳述を聴くことがで きないときは、聴く必要はありません。 また、家庭裁判所は、成年後見人選任の審判をするときは、成年後見人となるべき者の意 見を聴かなければなりません。(家事事件手続法120条) 成年後見人の選任の審判事件においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人 は、法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができます。(家事事件手続法118条) 家庭裁判所は、成年後見人を選任するには、以下の事情を考慮しなければなりません。 (民法843条4項) (1) 成年被後見人の心身の状態、生活及び財産の状況 (2) 成年後見人となるべき者の職業、経歴、成年被後見人との利害関係の有無 (3) 法人を成年後見人に選任しようとするときは、その事業の種類、内容、その法人 及び代表者と成年被後見人との利害関係の有無 (4) 成年被後見人の意見 (5) その他一切の事情 後見開始の審判の申立の際に、申立人が成年後見人の候補者を立てることができますが、 その候補者が必ず選任されるわけではなく、家庭裁判所が上記ような一切の事情を考慮して 候補者以外の者を成年後見人に選任することもあります。 成年後見人が欠けたため後見人選任の審判が申し立てられた場合には、審判がされる前 であっても、家庭裁判所の許可がなければ申立を取り下げることはできません。 (家事事件手続法121条) 成年後見人選任の審判、選任の申立を却下又は棄却する審判に対しては、即時抗告をす ることはできません。 後見人の辞任 ・ 解任 1 後見人の辞任 後見人は、正当な事由があるときは家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。 (民法844条) 勝手に辞任することはできません。 後見人が辞任したことによって、新たに後見人を選任する必要が生じたときは、辞任した後見 人は遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。(民法845条) 2 後見人の解任 家庭裁判所は、後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由がある ときは、下記の者の請求により又は職権でその後見人を解任することができます。(民法846条) 後見人の解任を請求できるのは、以下の者です。 (1) 後見監督人 (2) 被後見人 (被後見人は、成年後見人解任の審判においては、法定代理人によらずに 自ら手続行為を行うことができます。(家事事件手続法118条)) (3) 被後見人の親族 (4) 検察官 成年後見人の解任の審判手続においては、成年被後見人も法定代理人によらずに自ら手続 行為を行うことができます。(家事事件手続法118条) 家庭裁判所調査官は、成年後見人に解任事由があると認めるときは、その旨を以下の事項を 記載した書面により家庭裁判所に報告しなければなりません。(家事事件手続規則79条1、2項) (1) 解任すべき成年後見人及び成年被後見人の氏名及び住所 (成年後見人が法人の場合は、その名称及び住所) (2) 成年後見開始の原因及び年月日 (3) 解任すべき成年後見人が就職した年月日 (4) 解任すべき事由 (5) その他参考となる事項 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判をするときは、成年後見人の陳述を聴かなければな りません。(家事事件手続法120条1項) 成年後見人の解任の審判に対しては、解任された成年後見人が即時抗告をすることができます。 成年後見人の解任の申立てを却下する審判に対しては、申立人 ・ 成年後見監督人 ・ 成年被 後見人及びその親族が即時抗告をすることができます。(家事事件手続法123条1項) 後見人の解任の審判前の保全処分 1 成年後見人の職務の執行停止 ・ 職務代行者の選任の審判 (家事事件手続法127条1項) 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人 の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立をした者の申立により又は職権で、 成年後見人の解任についての審判が効力を生じるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、 又はその職務代行者を選任することができます。 この保全処分の手続においては、成年被後見人も法定代理人によらずに自ら手続行為を 行うことができます。(家事事件手続法118条) 2 審判の効力の発生時期 (家事事件手続法127条2項) 成年後見人の職務の執行を停止する審判は、以下のいずれかの者に告知することによって 効力が生じます。 (1) 職務の執行を停止される成年後見人 (2) 他の成年後見人 (3) 審判により選任された職務代行者 3 職務代行者 (家事事件手続法127条3項、4項) 家庭裁判所は、いつでも選任した職務代行者を改任することができます。また、選任し、改任 した職務代行者に対して、成年被後見人の財産の中から相当な報酬を与えることができます。 後見監督人 1 成年後見監督人を選任する場合 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、以下の者の請求により又は職権で成年後見監督人 を選任することができます。(民法849条の2) 成年後見監督人の選任を請求できる者 (1) 成年被後見人 (成年後見監督人の選任の審判においては、成年被後見人も法定代理 人によらずに自ら手続行為を行うことができます。(家事事件手続法118条)) (2) 成年被後見人の親族 (3) 成年後見人 2 成年後見監督人の欠格事由 次の者は、成年後見監督人となることができません。(民法847条、850条、852条) (1) 未成年者 (2) 家庭裁判所で解任された法定代理人 ・ 保佐人 ・ 補助人 (3) 破産者 (4) 被後見人に対して訴訟をしている者又は過去にしたことがある者、それらの者の 配偶者及び直系血族 (5) 行方の知れない者 (6) 成年後見人の配偶者 ・ 直系血族 ・ 兄弟姉妹 法人は、成年後見監督人となることができます。 3 成年後見監督人選任の審判 家庭裁判所は、成年後見監督人の選任の審判をするときは、成年被後見人の陳述を聴かな ければなりません。ただし、心身の障害によりその陳述を聴くことができないときは別です。 (家事事件手続法120条1項) また、家庭裁判所は、成年後見監督人の選任の審判をするときは、成年後見監督人となるべ き者の意見を聴かなければなりません。(家事事件手続法120条2項) 家庭裁判所は、成年後見監督人を選任するには、以下の事情を考慮しなければなりません。 (民法843条4項、852条) (1) 成年被後見人の心身の状態、生活及び財産の状況 (2) 成年後見監督人となるべき者の職業、経歴、成年被後見人との利害関係の有無 (3) 法人を成年後見監督人に選任しようとするときは、その事業の種類、内容、その 法人及び代表者と成年被後見人との利害関係の有無 (4) 成年被後見人の意見 (5) その他一切の事情 4 成年後見監督人の辞任 成年後見監督人は、正当な事由があるときは家庭裁判所の許可を得て辞任することができ ます。(民法844条、852条) 勝手に辞任することはできません。 5 成年後見監督人の解任 成年後見監督人の解任については、成年後見人の場合と同様です。(民法846条、852条) 6 成年後見監督人の解任の審判前の保全処分 成年後見人の場合と同様です。 (家事事件手続法127条5項) 後見の事務 成年後見開始の審判がされ成年後見人が選任されると、後見の事務が開始します。成年後見人は、成年 後見監督人や家庭裁判所の監督の下で後見の事務を行います。 財産の調査及び目録の作成 1 成年後見人の財産の調査及び目録の作成義務 成年後見人は、就職後遅滞なく成年被後見人の財産の調査に着手し、1ヶ月以内にその 調査を終え目録を作成しなければなりません。ただし、その期間は家庭裁判所において伸長 することができます。(民法853条1項) 財産の調査及び目録の作成は、成年後見監督人が選任されている場合には、その立会い のもとでしなければ効力を生じません。(民法853条2項) 2 財産目録作成前の成年後見人の権限 成年後見人は、財産目録の作成を終えるまでは、その権限が急迫の必要がある行為をする ことだけに限定されます。ただし、善意の第三者に対しては、この権限の制限を対抗することは できません。(民法854条) 3 成年後見人の成年被後見人に対する債権 ・ 債務の申出義務 成年後見人が、成年被後見人に対して債権を有している場合、又は成年被後見人に対して 債務を負っている場合において、成年後見監督人が選任されているときは、財産の調査に着手 する前に、これを成年後見監督人に申し出なければなりません。もし、成年後見人が成年被後 見人に対して債権を有していることを知りながら申し出なかった場合には、成年後見人はその 債権を失います。(民法855条) 成年後見人が就職した後に、成年被後見人が包括財産を取得した場合 (相続等) にも、成年 後見人は以上の手続をとらなければなりません。(民法856条) 支出金額の予定 ・ 後見の費用 (民法861条) 成年後見人は、その就職の初めにおいて、成年被後見人の生活 ・ 教育 ・ 療養看護 ・ 財産の管理 のために毎年支出すべき金額を予定しなければなりません。 成年後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、成年被後見人の財産の中から支弁されます。 成年被後見人の身上等への配慮義務 成年後見人は、成年被後見人の生活 ・ 療養看護 ・ 財産の管理に関する事務を行うにあたっては、 成年被後見人の意思を尊重し、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません。 (民法858条) 成年被後見人の財産の管理及び法律行為 の代理 1 成年後見人の注意義務 成年後見人は、善良な管理者の注意をもって、後見事務を行わなければなりません。 (民法869条、644条) 2 包括的な代理権 成年後見人は、成年被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について成年被 後見を代表します (民法859条1項)。つまり、成年後見人は、成年被後見人の財産に関する 法律行為について包括的な代理権を有しています。ただし、財産上の法律行為であっても、成年 被後見人の行為を目的とする債務が生じる場合には、成年被後見人の同意を得なければ行う ことはできません。(民法859条2項) 3 居住用不動産の処分 成年後見人が、成年被後見人に代わって、その居住用の建物又は敷地 (現実に居住している 建物等に限らず、今後居住の用に供する可能性のある建物等も含まれます。)について、売却 ・ 賃貸 ・賃貸借の解除 ・ 抵当権の設定その他これらに準じる処分をするには、家庭裁判所の許可 を得なければなりません (民法859条の3)。 家庭裁判所の許可を得ずに、成年後見人がこれらの行為をしても、その行為は無効です。 4 利益相反行為 成年後見人と成年被後見人との利益が相反する行為については、成年後見人が成年被後見 人を代理することはできません。この場合には、成年後見人は、成年被後見人のために特別代理 人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。同一人が複数の成年被後見人の成年後見 人に就職している場合において、その成年被後見人相互で利益が相反するときも同様です。この 場合には、成年後見人は利益が相反する一方の成年被後見人を代理することはできますが、他 方の成年被後見人のために特別代理人の選任を請求することになります。(民法860条、826条) 5 成年後見監督人の同意を要する行為 (民法864条) 成年後見監督人が選任されている場合には、成年後見人が成年被後見人に代わって以下の 行為をするには、成年後見監督人の同意を得なければなりません。(民法864条、13条1項) (1) 営業 (2) 元本の利用 (金銭の貸与等) (3) 借財又は保証 (4) 不動産その他の重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為 (5) 訴訟行為 (6) 贈与、和解、仲裁合意 贈与とは、贈与をする場合のことで、贈与を受ける場合は含まれません。 (7) 相続の承認、放棄、遺産の分割 (8) 贈与の申込みの拒絶、遺贈の放棄、負担付遺贈の申込みの承諾、負担付遺贈の 承認 (9) 新築、改築、増築、大修繕 (10) 以下の期間を超える賃貸借 ア 樹木の植栽又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年 イ その他の土地の賃貸借 5年 ウ 建物の賃貸借 3年 エ 動産の賃貸借 6ヶ月 成年後見人が、上記の行為を成年後見監督人の同意を得ずにした場合は、成年被後見人 又は成年後見人が取り消すことができます。この場合には、その行為の相手方は、成年被後見 人がした行為の相手方と同様の催告権が認められます(成年被後見人の行為の効力の 項参照)。 また、この場合にも、取消及び追認に関する民法121条から126条規定が適用されます。 (民法865条) 成年被後見人の財産等の譲受けの取消し 成年後見人が、成年被後見人の財産又は成年被後見に対する第三者の権利を譲り受けたときは、 成年被後見人は、これを取り消すことができます。この場合には、行為の相手方の催告権に関する民法 20条が準用されるとともに、取消及び追認に関する民法121条から126条の規定が適用されます。 (民法866条) 成年後見人が複数いる場合 成年後見人は、1人とは限りません。家庭裁判所により複数の成年後見人が選任される場合があり ます。この場合には、各後見人は原則として単独でその権限を行使することができますが、家庭裁判所 は、職権で数人の成年後見人が共同して又は事務を分掌して、権限を行使すべきことを定めることがで きます。また、家庭裁判所は、職権でこの定めを取り消すこともできます。(民法859条の2 1項、2項) 成年後見人が複数いる場合には、成年被後見人に対して意思表示をする第三者は、家庭裁判所に より上記の後見人の権限行使についての定めがされている場合であっても、成年後見人全員に対して 意思表示をする必要はなく、そのうちの1人に対して意思表示をすれば、その効果が生じます。 (民法859条の2 3項) 後見人の報酬 家庭裁判所は、成年後見人及び成年被後見人の資力その他の事情によって、成年被後見人の財産 の中から、相当な報酬を成年後見人に与えることができます。 後見の事務の監督 1 成年後見監督人による後見の事務の監督 (1) 成年後見監督人の職務 成年後見監督人の職務の次のとおりです。(民法851条) @ 成年後見人の事務を監督すること A 成年後見人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること B 急迫な事情がある場合に、必要な処分をすること C 成年後見人又はその代表する者と成年被後見人との利益が相反する行為につ いて、成年被後見人を代表すること 成年後見監督人が職務を行うについては、委任に関する以下の規定が準用されます。 (民法852条) @ 善良な管理者の注意義務 (民法644条) A 急迫な事情がある場合の委任終了後の処分義務 (民法654条) B 委任終了の対抗要件 (民法655条) 成年後見監督人については、成年後見人に関する以下の規定が準用されています。 (民法852条) @ 成年後見人が複数いる場合の権限の行使 (民法859条の2) A 居住用不動産の処分についての家庭裁判所の許可 (民法859条の2) B 費用の支弁 (民法862条2項) C 報酬 (民法862条) (2) 成年後見監督人の監督権限 成年後見監督人は、後見の事務の監督のため以下の権限を有します。 (民法863条1項) @ いつでも、成年後見人に対して後見の事務の報告又は財産目録の提出を求め ることができます。 A いつでも、後見の事務又は成年被後見人の財産の状況を調査することができ ます。 2 家庭裁判所による後見の事務の監督 家庭裁判所は、以下の方法により後見の事務を監督します。 (1) 後見事務等の報告請求及び調査 家庭裁判所は、成年後見監督人と同様に、いつでも成年後見人に対して、 後見の事務の報告又は財産目録の提出を求めることができ、また、いつでも 後見の事務又は成年被後見人の財産の状況を調査することができます。 (民法863条1項) (2) 必要な処分の命令 家庭裁判所は、成年後見監督人 ・ 成年被後見人 ・ 成年被後見人の親族 ・ その他の利害関係人の請求により、又は職権によって、成年被後見人の財 産の管理その他後見の事務について必要な処分を命じることができます。 (民法863条2項) (3) 家庭裁判所調査官による報告 家庭裁判所調査官は、民法863条による成年後見の事務に関する処分の 必要があると認めるときは、その旨を以下の事項を記載した書面で家庭裁判 所に報告しなければなりません。(家事事件手続規則80条) @ 成年後見人及び成年被後見人の氏名及び住所 (成年後見人が法人の場合は、その名称及び住所) A 成年後見開始の原因及び年月日 B 成年後見人が就職した年月日 C 処分を必要とすべき事由 D その他参考となる事項 (4) 後見の事務等の調査 ・ 財産の管理等 (家事事件手続法124条) 家庭裁判所は、適当な者に、後見の事務又は成年被後見人の財産の状況 を調査させることができます。家庭裁判所は、この調査を家庭裁判所調査官 にさせることができます。 また、家庭裁判所は、適当な者に、臨時に成年被後見人の財産の管理をさ せることができます。 財産の管理をする者については、委任における受任者に関する以下の規定 が準用されます。 ア 善良な管理者の注意義務 (民法644条) イ 事務処理において受け取った物の引渡し等 (民法646条) ウ 引き渡すべき金銭を消費した場合の責任 (民法647条) エ 事務処理に必要な費用等の償還請求等 (民法650条) 家庭裁判所は、上記の調査又は管理をした者に対して、成年被後見人の財 産の中から相当な報酬を与えることができます。 (5) 成年後見人に対する指示等 家庭裁判所は、いつでも、成年後見人に対して、成年被後見人の療養看護 及び財産の管理その他の成年後見の事務に関し相当と認める事項を指示す ることができます。(家事事件手続規則81条1項) また、家庭裁判所は、いつでも、成年後見監督人に対して、成年後見監督の 事務に関し相当と認める事項を指示することができます。(同条2項) 第三者が無償で成年被後見人に 与えた財産の管理 1 第三者の意思による成年後見人の管理権の排除 第三者が無償で成年被後見人に対して財産を与える場合には、その第三者は、その財産を 成年後見人に管理させない意思を表示することができます。この場合には、その財産は成年後 見人の管理には属さず、以下の者が管理することになります。(民法869条、830条1〜3項) (1) 第三者が財産の管理者を指定した場合 指定された管理者 (2) 第三者が財産の管理者を指定しなかった場合 成年被後見人 ・ 成年被後見人の親族 ・ 検察官の請求により家庭裁判所が 財産の管理者を指定します。 第三者が管理者を指定しているときでも、その管理者の権限が消滅し又はその 管理者を改任する必要がある場合において、第三者が新たな管理者を指定しない ときも同様です。 2 家庭裁判者が選任 ・ 改任した管理者の財産の管理 (1) 財産の管理者の職務 ・ 権限等 (民法869条、830条4項) 財産の管理者は、管理すべき財産の目録を作成しなければなりません。その費用 は、成年被後見人の財産の中から支弁されます。(民法27条1項) 財産の管理者が、法令の規定によりその管理すべき財産の目録を作成する場合 には、目録を2通作成し、その1通を家庭裁判所に提出しなければなりません。また、 家庭裁判所は、財産の管理者が作成した目録が不十分であると認めるときは、管理 者に対して、公証人に財産の目録を作成させることを命じることができます。 (家事事件手続規則82条) 財産の管理者の権限は、以下の行為に限定されます。 ア 財産の保存行為 イ 財産の性質を変えない範囲内における利用 ・ 改良行為 この権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その 行為をすることができます。(民法28条) その他、財産の管理者については、委任における受任者に関する以下の規定が 準用されています。(家事事件手続法125条6項) ア 善良な管理者の注意義務 (民法644条) イ 事務処理において受け取った物の引渡し等 (民法646条) ウ 引き渡すべき金銭を消費した場合の責任 (民法647条) エ 事務処理に必要な費用等の償還請求等 (民法650条) (2) 財産の管理者に関する家庭裁判所の処分 家庭裁判所は、財産の管理者について以下の処分をすることができます。 (民法869条、830条4項、家事事件手続法125条) ア 財産の管理者に対し、財産の保存に必要と認める処分を命じることができ ます。(民法27条3項) イ いつでも財産の管理者を改任することができます。 (家事事件手続法125条1項) ウ 財産の管理者に対して、財産の状況の報告及び管理の計算を命じることが できます。 この報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁さ れます。(家事事件手続法125条2項、3項) エ 財産の管理者に対して、財産の管理及び返還について相当の担保を立てさ せることができます。(民法29条1項) オ 財産の管理者に対して、その提供した担保の増減、変更、免除を命じること ができます。 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命じる審判が効力 を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければなりま せん。設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても同様です。 (家事事件手続法125条4項、5項) 抵当権設定登記を嘱託するときは、嘱託書に抵当権設定を命じる審判書 の謄本を添付しなければなりません。抵当権の変更又は消滅の登記を嘱託 するときも同様です。(家事事件手続規則83条) カ 財産の管理者と成年被後見人との関係その他の事情により、成年被後見人 の財産の中から、財産の管理者に対して相当な報酬を与えることができます。 (民法29条2項) (3) 家庭裁判所の財産の管理に関する処分の取消し (家事事件手続法125条7項) 家庭裁判所は、以下の場合には、成年被後見人 ・ 財産の管理者 ・ 利害関係人の 申立てにより、又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分 の取消しの審判をしなければなりません。 ア 成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき イ 管理する財産がなくなったとき ウ その他財産の管理を継続することが相当でなくなったとき 後見の終了 後見開始の審判が取り消されたとき、成年被後見人が死亡したときには、後見は終了します。 後見の計算 後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、2ヶ月以内にその管理の計算 (後見の 計算) をしなければなりません。2ヶ月の期間は、家庭裁判所において伸長することができます。 (民法870条) 後見監督人が選任されているときは、上記の後見の計算は、後見監督人の立会いのもとでしなければ なりません。(民法871条) 成年後見人と成年被後見人との間の清算 1 利息の支払い 成年後見人と成年被後見人との間で、相互に返還すべき金額がある場合、その返還すべき 金額には後見の計算が終了した時から、利息を付さなければなりません。(民法873条1項) 2 成年後見人の損害賠償責任 成年後見人が、自己のために成年被後見人の金銭を消費した場合には、消費した時から利息 を付さなければならず、更に損害があるときは、その損害を賠償する責任を負います。 (民法873条2項) 後見終了後の成年後見人の事務処理責任 成年後見人は、後見が終了した場合でも、急迫の事情があるときは、成年被後見人又はその相続人 が事務を処理することができるようになるまで、必要な処分をしなければなりません。 (民法874条、654条) 後見監督人についても同様です。(民法852条) 後見終了の対抗要件 後見が終了すると、成年後見人の代理権は消滅します。しかし、成年後見人との間で法律行為を行っ た相手方との関係では、後見の終了事由を相手方に対して通知するか、相手方がこれを知っていたとき でなければ、後見の終了事由を相手方に対抗することはできません。(民法874条、655条) 後見監督人についても同様です。(民法852条) 後見に関して生じた債権の消滅時効 後見に関して、成年後見人又は成年後見監督人と成年被後見人との間で生じた債権は、成年後見人 又は成年後見監督人の権限が消滅した時から5年間行使しなかった場合には、時効により消滅します。 (民法875条、832条1項) 後見が終了する前に、成年後見人又は成年後見監督人の権限が消滅した場合 (辞任や解任等) に は、消滅時効の期間は、後任の成年後見人が就職した時から起算します。(民法875条、832条2項) |
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